最後の炎が、新たなる武神に一矢報いたとき、その場に集まっていた魂たちは歓声を上げました。
かくして、あなたたちは武神の敗北を手土産に、各々天界へと還っていくことでしょう。
あなたたちが生を受け、そして永くを過ごしてきたこの国も、
その身体を最早持たぬ者にとっては、長く留まれる場所ではありませんでした。
あなたたちを倒した武神に報いたことで、あなたたちの魂魄をこの世に繋いでいた未練はほどけ、
少しずつ、しかしながら確実に空へと向かって昇っていきました。
晴れ渡る青空の日。
眼下には広く美しい森が広がり、
城下町のところどころからは、未だ残る魂のきらめきを感じました。
それは、かつての夢で見たような、
血生臭く恐ろしい世界の住人からは、想像もつかないような光景です。
あなたたちや。
あなたたちの魂に共鳴した、強きものたちのような。
夥しい数の魂魄を礎として、この国はこれまでもこれからも、
より正しき方向へと、導かれていくのだろうと思われました。
この国は、これからしばらくは、あの武神が治めていくことでしょう。
ひょっとしたら、また時を経たのちに、
魂魄となったあなたたちにも、どこかで踊る機会が巡ってくるかもしれません。
それならば、その時まで。
「どうか、よい夢を」
――おしまい(魂魄勝利END)